はじめに
　　 ｢慰安婦｣問題とは
　　 重みを増すメディアとNGO
　　 メディア､ NGOの結果責任
　　 ｢歴史認識｣の問題
　　 左右の対立を超えて
　　 政府､ メディア､ NGOの公共的役割
　第1章 ｢慰安婦｣問題の衝撃
　　 Ⅰ. メディア､ NGO､ 日本政府
　　 元 [慰安婦]の出現
　　 村山政権の登場
　　 日本国民の戦後責任
　　 ｢諸君！｣で示した償い案
　　 Ⅱ. 村山内閣とアジア女性基金の設立
　　 ｢慰安婦｣問題の優先性
　　 アジア女性基金の構想
　　 五十嵐最終案の意義
　　 アジア女性基金の具体化
　　 政府と市民の協働の基金
　第2章 アジア女性基金とメディア､ NGOの反応
　　 Ⅰ. アジア女性基金の発足
　　 出帆
　　 メディアの反応
　　 償いと無数の課題
　　 償いの方針の具体化
　　 絞られた五つの国·地域
　　 募金活動の課題
　　 三木睦子氏の辞任
　　 募金に応じてくれた人たち
　　 償い金と医療福祉支援費の決定
　　 Ⅱ. 五つの国·地域での償い
　　 フィリピン
　　 フィリピンの被害者への償い
　　 台湾
　　 元 ｢慰安婦｣たちの葛藤
　　 韓国
　　 韓国の状況の複雑さ
　　 償いの実施と韓国世論の反発
　　 韓国での挫折
　　 韓国の｢慰安婦｣問題の難しさ
　　 強固な反日ナショナリズム
　　 オランダ
　　 オランダでの成功の理由
　　 インドネシア
　　 不満足なインドネシアの状況
　第3章 被害者の視点､ 被害者の利益
　　 Ⅰ. ｢慰安婦｣問題の評価
　　 ｢慰安婦｣問題の担い手たち
　　 評価の基準
　　 歴史的事実の認識と評価
　　 Ⅱ. 被害者の願いとそれへの対応
　　 被害者の声とは
　　 ｢お金の問題ではない｣のか
　　 過剰な倫理主義の問題性
　　 ｢本心｣を知ることの難しさ
　　 被害者を抑圧したもの
　　 被害者と全体の観点·利益
　　 時間との勝負
　　 アジア女性基金による償いの結果
　第4章 アジア女性基金と日本政府の問題性
　　 Ⅰ. アジア女性基金の失敗
　　 広報の拙劣さ
　　 人材は豊富だったが
　　 メディア戦略の失敗
　　 メディア戦争での敗北の理由
　　 組織としての問題性
　　 関係者たちの温度差
　　 原理事長のリーダーシップ
　　 五十嵐広三氏の不在
　　 Ⅱ. 日本政府の対応と政策
　　 政策としての評価
　　 基金設立後の政策の問題性
　　 政府＝悪玉論の誤謬
　第5章 償いとは何か― ｢失敗｣を糧として
　　 Ⅰ. 何が ｢失敗｣をもたらしたのか
　　 償いとその評価
　　 ｢失敗｣の理由
　　 国家補償·責任者処罰論の危うさ
　　 裁判所の法解釈
　　 国連·国際社会からの圧力への幻想
　　 法的な闘いの見通しと結果責任
　　 NGOの政治的責任
　　 Ⅱ. 法的責任論の誤謬
　　 法的責任と道義的責任
　　 法的責任の価値
　　 法的責任は道義的責任に優るのか
　　 ドイツが認めた責任とは
　　 Ⅲ. 道義的責任のはたし方
　　 ことばと所作
　　 物質的な償いと教育·啓発
　　 再発防止の努力
　　 歴史の教訓として
　　 日本とドイツの法的·道義的責任
　　 Ⅳ. 総理のお詫びの手紙
　　 お詫びの手紙とは
　　 被害者はどう受け止めたか
　　 総理のお詫びの評価
　　 多様な被害者の認識
　　 国際社会と総理のお詫び
　　 理想の追求と評価のあり方
　　 Ⅴ. 新しい公共性の担い手とは
　　 政府＝公､ 国民＝民間か
　　 ｢基金＝公共性の担い手｣論の意義
　　 日本人として胸を張って生きるために
　終 章 二一世紀の日本社会のあり方
　　 Ⅰ. 中国·韓国とのつき合い方
　　 国家補償なら成功だったか
　　 償いきれないものの償い
　　 ｢慰安婦｣問題が残したこと
　　 韓国NGOの反日ナショナリズム
　　 中韓への建設的批判の不在
　　 俗人であることを認めて
　　 Ⅱ. 日本社会の可能性
　　 市民運動の意義
　　 女性国際戦犯法廷
　　 アジア女性基金とNGOの補完性
　　 失敗を糧として
　　 ｢正義の追求｣の意義と限界
　　 寄り添い､ 共感し合える社会を
　あとがき
　｢慰安婦｣問題関連年表