一. 同三日早朝, 向井將監樣江御出被成. 御衣裳濃藍染, 御帷子藍染, 繻子御袴, 八條島御羽織被召之. 御船江御參被成候節, 御衣裳御改, 御布上下淺黃小紋, 御帷子白地四目結·蛇の目·裏菊, 萌黃の絲ニ而縫有之, 御羽織ハ右同然也, 公方樣御船三階の樓上ニ被遊御座. 諸御大名樣方廻リ緣ニ而, 御拜禮被成, 一階目の樓ニ而, 御料理被下之. 大炊頭樣·讚岐守樣御出座ニ而, 御前ニおいて御料理可被下之候得共, 諸大名安座被致候樣ニと, 被思召上候ニ付, 態と出御不被遊候. 何も緩々と遊, 宴被仕候樣ニ与之 上意之趣, 被仰渡ル. 御料理相濟, 諸大名樣方御樓上江御召, 御土器出ル. 酒二行之後, 座位格式有之, 御酒興無之, 被思召上候間, 列座被仕候樣ニと, 上意有之. 御衆中樣江御土器被下之. 拍子五番有之. 亂酒ニ成リ, 御大名樣方御謠有之. 松平肥前守樣·細川越中守樣·松平越前守樣·松平新太郞樣·松平阿岐守樣, 何茂御舞有之. 松平伊豫守樣·松平越後守樣·松平出羽守樣, 御伴拍子ニ而, 御國風之小舞御舞被成. 福島信濃守樣, 御國風之例古節御歌イ, 松平長門守樣御小謠御歌イ被成. 御酒數遍ニ及候時, 何茂能御酒被給候与之上意ニ而 還御, 御大名樣方何も御退出.