はじめに
　第一章 日本軍慰安婦とはなにか
　　 一. 軍慰安婦制度の概要
　　 1. 創設と拡大
　　 2. 設置された地域と女性の民族別
　　 3. 軍慰安所のタイプと国家の責任
　　 二. このような制度がなぜ必要とされたのか
　　 1. 植民地·占領地の女性が軍慰安婦にされた理由
　　 2. 日本軍が慰安所を必要とした理由
　第二章 軍慰安婦制度の指揮命令系統
　　 一. 陸軍
　　 1. 軍慰安所設置·軍慰安婦徴集の指揮命令系統
　　 2. 海外各派遣軍と陸軍中央との関係
　　 3. 陸軍中央による軍慰安婦政策の統制
　　 4. アジア太平洋戦争期の陸軍省の軍慰安婦政策
　　 5. 軍慰安婦の移送､ コンドームの輸送
　　 6. 軍慰安婦使役に関する責任の所在
　　 二. 海軍·内務省·総督府
　　 1. 海軍の指揮命令系統
　　 2. 内務省·朝鮮総督府·台湾総督府の関与
　第三章 日本·台湾·朝鮮からの軍慰安婦の徴集
　　 一. 日本国内からの徴集
　　 1. 軍の統制下における徴集
　　 2. 徴集の方法と対象
　　 3. 渡航手続き
　　 4. 軍慰安婦の徴集と醜業条約
　　 二. 台湾からの徴集
　　 三. 朝鮮からの徴集
　　 1. 一九三〇年代の社会状況下の朝鮮女性
　　 2. ｢募集｣の担い手とその方法
　　 3. ｢募集｣の対象および地域
　第四章 中国占領地域における徴集と慰安所の展開
　　 一. 前史
　　 二. 日中戦争初動期における軍慰安所の開設と慰安婦の徴集
　　 三. 日中戦争長期化のもとでの軍慰安婦の徴集と慰安所の展開
　　 四. 関特演と関東軍
　　 五. アジア太平洋戦争期―中国が補給母体になる場合
　第五章 アジア太平洋戦争下の慰安所の展開
　　 一. 東南アジア·太平洋地域における徴集
　　 1. 徴集の実態
　　 2. 徴集方法の特徴
　　 3. 東南アジアの売買春の状況
　　 4. ｢からゆきさん｣と日本外務省
　　 二. ヨーロッパ人の徴集
　　 三. 東南アジア·太平洋地域の慰安所の展開
　　 四. 沖縄の慰安所
　　 五. 日本国内の慰安所
　　 1. 軍慰安所
　　 国内に設置された軍慰安所
　　 軍慰安婦の徴集の指揮系統
　　 軍事施設建設現場に設置された軍慰安所
　　 2. 事業場慰安所
　第六章 軍慰安所における生活実態
　　 慰安所の名称
　　 慰安所の建物
　　 慰安所利用規定
　　 軍慰安婦の拘束状況
　　 軍慰安婦の待遇
　　 “慰安”の強要
　　 一日に強要された“慰安”の回数
　　 性病検査
　　 妊娠
　　 麻薬
　　 死亡した軍慰安婦
　第七章 心身に残る傷
　　 事例1 不安神経症
　　 事例2 悪夢
　　 事例3 震え
　　 性暴力の被害者
　　 否定的自己評価
　　 性関係の障害
　　 想起がもたらすストレス
　　 身体に残る傷､ 刺青
　　 不妊
　　 癒しを求めて
　第八章 日本軍慰安婦制度の歴史的背景
　　 一. 日本社会と公娼制
　　 1. 日本の公娼制度の特色
　　 2. 紹介業の取締り
　　 3. 廃娼の進展
　　 4. 軍隊と買春
　　 二. 朝鮮植民地支配と朝鮮人女性
　　 1. 朝鮮支配と国籍·戸籍
　　 2. 教育のなかの朝鮮人女性
　　 3. 家族のなかの女性の地位
　　 4. 日本による公娼制度導入と朝鮮人女性
　　 三. 日本軍隊の特質
　　 1. 各国軍隊の専用売春宿
　　 2. 日本軍の特質
　　 ｢戦時利得｣としての強姦の肯定
　　 日本軍隊の人権抑圧構造
　　 アジア人に対する蔑視意識
　　 女性に対する差別意識
　おわりに