Title | 玉女 03 | ||
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徳興里壁画古墳の前室西壁の天井に描かれた、仙人の詳細図である。前室の天井には西と南にそれぞれ1人ずつ、合計2人の仙人が登場している。
仙人という概念は戦国時代末期に形成された。仙人と同義語である神仙という名称は、班固(西暦32~92年)の『漢書』の芸文志によると「性命の真を保つことによってその外を探し求める者であり、意を清めるだけで心を落ち着かせ、死生の域を同じにし、そして胸中にはびくびくするものがない存在」という意味である。したがって神仙もしくは仙人とは、死を超越し天界を探し求める存在であり、古代からすべての人々に追求されてきた理想的な存在だった。
画面の仙人は、片手には旗を持ち、もう片方の手には蓮華の枝のような物を持って空を飛んでいる。衣服は羽衣(仙人の衣服で、衣の裾が鳥の羽のように分かれている)を着て、頭には仙人たちがよくかぶる冠をかぶり、裸足の姿をしている。仏教的世界観と神仙的世界観が混合した独特の死後の世界観を示しており、興味深い壁画である。