徳興里壁画古墳の前室東壁天井の狩猟図壁画に登場する、山岳文の詳細図である。起伏に富んだ山々が山脈をなして長く続いている。山の高低に大きく差をつけて表現していることから、非常に険しい深い山奥で狩りが行われていることがわかる。山の向こうに騎馬武士と鹿が見えており、乗馬に長けた高句麗の騎馬武士が鹿を追い越した後、振り向きざまに余裕あるしぐさで弓を引き絞っている。尾根の上には葉の青い木が描かれ、万物が今まさに目覚めるかのような爽やかな春の気配を伝えている。山岳の表現手法はまだ古拙の域を脱してはいないが、韓国の初期山水画の様子がわかる貴重な例である。