| Title | 東側室_東側_厨房 | ||
|---|---|---|---|
東側室の東壁左側に描かれた厨房の壁画である。厨房では、下女に見える三人の女性が各自に任された仕事をしようと慌ただしい姿を見せている。最も目を惹くのは、煙がゆらゆらと立ち上る甑の前で丁寧に料理をしている女性である。女性は左手のしゃもじでご飯がきちんと炊けているかを確認しており、右手の器に広げて入れる準備をしているようである。甑の大きさから見て、大人数が住んでいることが推察できる。甑横のかまどにはガラスの壷に見える透明な器が置かれている。赤く燃えているかまどの前では、体つきが小さく幼く見える別の下女が熱心に火を見ており、その横では一人の侍女が膳の上に重ね上げられた漆器の器を片付けている。屋根の端には一羽の黒い鳥ががとまっており、かまどの前の厨房の前には二匹の黒い犬が戯れている姿が捉えられている。豊かな貴族の厨房の切り盛りを垣間見ることができる貴重な視覚資料である。